中小企業診断士はコンサルタントの資格ですが、経営全般を学べることから、経済学・経営学出身の方を中心に、社会人全体に人気のある資格だと思います。
この記事は、そんな中小企業診断士の受験を検討されている方や、独学での勉強を行っている方に向けた記事です。特に、経済やコンサルが専門ではなく、始めて勉強したという方は、私と同じ立ち位置のスタートですので参考にして頂ける事も多いかと思います。
今回は、私が2020年度に中小企業診断士試験に独学で合格した経験から、私が使った中でオススメの参考書や、独学に効果的だったと思う勉強方法などをご紹介します。
合格ホヤホヤなので、新鮮な情報をお届けできるかと思います。
今回は雰囲気を掴んで頂くため体験談風に記載いたしますが、ノウハウだけを確認したい方は【結論】項をご参照くださいませ。
あらすじ
時は2018年春。
技術系ながらエンジニア経験の浅い私は、今後、技術だけで自分に付加価値を付けるのは厳しいと感じ、知識を広げるために中小企業診断士の受験を検討し始めたのでした……。
何故、中小企業診断士?
受験を検討し始めたころ、中小企業診断士が何者なのかイマイチ分かっていませんでした。
ただ一つ参考にしたのは、社内で高いパフォーマンスと評価を誇っていた先輩が、数年前に中小企業診断士を取得したと言っていたこと。
同時に、社内のビジネスとして、中小企業向けのサービスの検討が盛んになってきたこともあり、キャリアに悩む私にはちょうど良いのかなと思い始めたのでした。
中小企業診断士の概要
本屋ので立ち読みや、ネット検索で得た知識をまとめると、中小企業診断士とは下記のような業務がメインになる事が分かりました。
- 中小企業経営のコンサルティング(診断・助言・サポート)
- 各種経営セミナーの開催、登壇
- 中小企業のM&A支援や相続対策
一方で、業務独占資格ではないため、独立開業は一部にとどまり、サラリーマンとして勤務しながら活動する方も多いようです。
そして、2016年の今後取得したい資格ランキング(出典「NIKKEI STYLE」)で堂々の1位!
経営全般に関する知識が得られ、日本版MBAとも呼ばれると聞いて、キャリアに悩む私には丁度良い勉強の機会ではないだろうかと思ったのでした。
中小企業診断士 資格取得までの流れ
評価が高い事はわかりましたが、同時に、試験合格も中々ハードルが高い事も知りました。
試験は2段階あり、8月の一次試験と、10月の二次試験はともに20%程度の合格率。
2万人が受けて1千人程度しか受からない、かなり敷居の高い資格です。
しかも、経営が中心になるため、出題範囲は当然、経済学や商学が中心となり、これまでの情報通信系の知識がほとんど活かせないこともわかりました。
一次試験
7月の第二土曜・日曜に2日間かけて行われる、全7科目の選択式試験です。
科目はこちら
- A.経済学・経済政策(60分)
- B.財務・会計(60分)
- C.企業経営理論(90分)
- D.運営管理(90分)
- E.経営法務(60分)
- F.経営情報システム(60分)
- G.中小企業経営・中小企業政策(90分)
経済・財務会計・マーケティング・運用・法務等、様々な事業範囲に対応するための幅広い知識が問われるため、付け焼刃の暗記等では対応できません。
ただ、3年間は科目合格が認められるため、3年以内に全科目合格すればクリアできます。
また、他資格所持による科目免除制度もありますが、ハードルが高めなので基本的には6~7科目受験される事になるかと思います。
(科目免除については公式HP掲載のパンフレット等をご確認ください)
二次試験(筆記)
一次試験に合格した年から2年間受験できる、10月の第4日曜に開催される文章題の試験です。
試験内容は全4科目で各100分間。それぞれ出題テーマが決まっています。
- 事例Ⅰ(組織・人事)
- 事例Ⅱ(マーケティング・流通)
- 事例Ⅲ(生産・技術)
- 事例Ⅳ(財務・会計)
どの事例でも具体的な中小企業(旅館や建設会社、工場など)の状況が示され、改善案や課題を提示していくような問題です。
一次試験と違い、試験後にも解答例が出ないため、各社や個人が解答予測をしています。
二次試験(口述)
二次試験(筆記)の合格後、同年の12月中旬に開催される、1人10分間の面接試験です。
筆記時の事例Ⅰ~Ⅳのうち、主に2つの事例企業から口頭での質問がされ、口頭で返す形となります。
試験中は何も持ち込めないため、事例企業の情報を全て頭に入れて挑む必要があります。
ただ、合格率は非常に高く、あまり心配する必要はありません。
実務補習
試験合格後3年以内に、実際の企業への診断・助言を行う実務を15日間行うことで、ようやく資格取得となります。
私は今年試験合格したため、まだ実務は出来ていないというステータスです。
中小企業診断協会が主催してくれる実務補修というコースで、お金はかかりますが上記の実務に従事させてもらえますので、さっそく申し込んだところです。
こちらの内容は、受講後に詳細を記載できればと思います。
私の勉強記録
それではここで、私の受験勉強内容のご紹介です。
資格スクールや通信教育等は用いず、参考書と問題集だけで合格しました。
お陰で時間は掛かりましたが、自分のペースで、苦手分野や興味のある範囲をじっくり学習出来たかなと思います。
2018年
1次試験
2018年初頭、キャリアを悩む中で、中小企業診断士を知る。
2018年4月に、まずは申込と思い、銀座の中小企業診断協会まで出向いて受験案内を入手。
1科目免除(F.経営情報システム)が出来ることもあり、勢いで、問題を見ないまま試験に申し込む。(受験料 \13,000)
2018年5月に問題集を買い漁り、解いてみるも、分からない問題が多すぎて冷や汗をかく。
2ヵ月間、みっちり勉強するも、苦手分野の勉強時間が足りず、4科目合格、2科目落第で1年目を終える。(落第科目は、自己採点でB.財務・会計:48点、E.経営法務:28点、、、、)
反省とアドバイス
試験範囲が広く専門的なので、1次試験合格だけでも最低半年間は勉強期間を確保したいです。
特に、苦手分野を明確にして、時間をかけて対策をするべきです。
試験範囲が本当に広いので、忙しい社会人は特に早くから準備しないと、物理的に間に合いません。
また、問題集はいくつか試しましたが、下記の「スピード問題集」シリーズが必要十分な解説で参考になりました。
2019年
1次試験
2018年の反省を生かし、落ちた2科目を基礎から学習すべく、テキストも購入。
同時に、財務・会計の対策として、2019年2月には日商簿記3級試験に合格。
2科目で約3ヵ月間みっちり勉強し、無事、1次試験に合格。
2次試験(筆記)
9月に1次試験合格のお知らせが来た後、2次試験の勉強を開始。
「文章題は記憶力はあまり問われなさそうだし、過去問少しやればいけるだろう」と高を括り、下記1冊だけ購入して、勉強期間1ヵ月のみで試験に臨む。
そして見事に不合格。
反省とアドバイス
ここでも、勉強時間不足だったと言わざるを得ません。
せっかく1次試験が2科目で済んだのに、事前に2次試験の勉強をしなかったことは大きすぎる反省です。
とはいえ当時は、『1次試験でまた落ちたら、2次試験の勉強が無駄になる……』という気持ちが強かったのは確かです。
もしかすると本記事を読まれている方の中にも、そう思っている方がいるかもしれません。
その気持ちは痛いほど分かりますが、是非、自分を信じて、2次試験の勉強も少しずつ行うことです。
そのためには勉強開始時期をもっと早めて2月頃には勉強を始め、しっかり1次試験・2次試験の両者を交互に学習していくことが大事です。
何故なら、2次試験は2年間(2回)しか猶予が無いので、この1回目で落とすと翌年のプレッシャーが非常に大きくなってしまうからです。
2020年
2次試験(筆記)
前回の反省を生かし、また、落ちたらすべてが無駄になるという大きなプレッシャーから、試験5ヵ月前に勉強を開始。
理解に時間がかかりそうな財務・会計を中心に、問題集も買い集めて、ひたすら解いて解説を反芻する。
特筆して役立ったのは、下記の『ふぞろい』シリーズ。
独学では不足する解答テクニックや、幅広いアイデアを補充でき、自身の考慮不足を大いにサポートしてくれた。独学者には大変おすすめ。
過去問10年分を平均3周解くくらいまでやりこみ、これで落ちたら諦めがつくと思うところまできて、受験。
知識問題で解けなかった問いが複数あり、正直、昨年よりダメだったと思ったが、合格。
2次試験(口述)
12月頃、2次試験合格通知がきてから、わずか10日間で受験。
合格率99%と聞いていたものの、もし落ちたら一次試験からやり直しという後がない状況に想像以上に緊張する。
ブログ更新や日課のゲームもやめて、ひたすら事例Ⅰ~Ⅳの復習と、一人個室で発声練習をする。
大手資格スクールが公開している想定問答も念のため確認した。
当日の様子は別記事に記載したが、非常に緊張したものの何とか回答は返した。
そして、何とか合格。
反省とアドバイス
もし落ちたら一次試験からやり直し、というプレッシャーが尋常ではないです。
正直、なんとしても2年目での合格をオススメします。
とはいえ不幸にも私と同じ道になってしまった場合は、「ふぞろい」シリーズでの回答テクニックの学習や、苦手に感じる事例の勉強を基礎からやり直す等の対策を、時間をかけて行いましょう。
ここまできたら独学にこだわらず、資格スクールに通うもの手かもしれません。
勉強をすれば間違いなく実力はついていきますので、あきらめず、様々な知見を幅広く吸収するタイミングをいかに多く練習できるかが重要だと思います。
結論
1次試験対策
参考書について
私のオススメは、TAC出版の「最速合格のためのスピード問題集」シリーズです。
リーズナブルな価格な割に細かく解説が付いているので、勉強しやすい問題集です。
1回問題集を解いてみた上で、分からない言葉が多かったり、解説が理解できない場合には、同シリーズの「スピードテキスト」を購入しましょう。
お金もかかりますので、試験勉強だけを考えると、解ける区分のテキストを買う必要は薄いです。
(もちろん、知識を身につける意味では全部勉強するのも大事ですが、相当なボリュームなので、記憶力に自信がない方は、逆に忘れていってしまい危険です)
ちなみに私は、「②財務・会計」「⑥経営法務」「⑦中小企業政策」だけを購入しました。
特に「⑦中小企業政策」は毎年状況が変わる内容なので、テキストを買って一読した方が良いですね。
勉強方法について
独学での勉強では、勉強期間を確保することと、自身の弱みをいかにスピーディーに把握できるかが大事です。
余程自信のある方を除いて、少なくとも試験の半年前(2月頃)には、一度過去問を通しで解き、科目ごとの体感難易度を確認しましょう。
そして難易度が高いと感じた科目のテキストを買い、重点的に勉強を始めることです。
苦手な2~3科目を2ヵ月で理解し、2ヵ月で残り科目の過去問演習をした後、最後の2ヵ月で繰り返し過去問練習する形が良いと思います。
私は3ヵ月前に6科目の勉強を始めたため、完全に時間が足りずに、苦手な2科目を落として翌年に回してしまいました……今考えると大変無謀でした。
2次試験対策
参考書について(筆記試験)
対策として何種類か問題集を使いましたが、「ふぞろい」シリーズが一番オススメでした。
独学者では学びにくい回答のテクニックが凝縮されており、点数の取りこぼしが少なくなります。
ただ少し解説が物足りない場合もありますので、適宜調べたり、他の解説書を買ったりするのも良いでしょう。
勉強方法について(筆記試験)
2次試験対策は、過去問を繰り返し解くことに尽きます。
個人的には、10年分の過去問を3周くらいできると良いように感じました。
少なくとも4~5ヵ月の勉強時間は確保したいところですが、ストレート合格を目指す場合は1次試験合格後からでは時間が足りません。
特に社会人や家族持ちには厳しいので、1次試験受験前に更に2~3ヵ月の勉強時間を確保しましょう。
私は2年目に1次試験を合格後、1ヵ月間の勉強だけで挑んでみましたが、明らかに問題の理解力が足りず、落ちてしまいました……。
口述試験対策について
特段、参考書は不要です。ネット上の合格・不合格体験記が一番役に立ちます。
皆さん言っている事ですが、下記の3ポイントに注意しましょう。
- 資料は持ち込めないため、筆記試験の事例をよく読み込み、自身が社長になったつもりで話せるようにすること
- 体調不良で欠席にならないこと
- 本番に黙り込んでしまわないこと
特に黙り込まないことが大事です。
不合格の方の例として、答えに詰まり何度も黙り込んでしまった、というケースがあると聞きました。
質問をオウム返ししたり、前提を確認したり、対象見当違いでも何かしら返しましょう。
終わりに
今回は、中小企業診断士の受験を検討されている方や、独学での勉強を行っている方向けに、私の体験を踏まえた勉強方法や参考書のご紹介をいたしました。
人によってベストなやり方はあるかと思いますが、是非ひとつの事例として、参考にして頂ければ幸いです。
中小企業診断士は、専門外の方が独学で目指す資格としてはかなり難易度が高いと感じますが、けして無理ではありません。
しっかりと勉強時間を確保すれば結果は出せますので、是非学習を楽しんで進めていきましょう。
最後までお読み下さいまして、ありがとうございました。


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